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広島がん高精度放射線治療センター 広島市東区二葉の里三丁目2番2号
TEL:082-263-1330(代表)/ 082-263-1314(事務ダイヤルイン)
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注意点(TG-1)

HIPRAC技術支援ワーキンググループが実施している「外部放射線治療装置の出力線量管理調査」を受ける上での注意点について

広島がん高精度放射線治療センター技術支援ワーキンググループ(以下、本WG )が実施している「外部放射線治療装置の出力線量管理調査」では、標準計測法12に基づく各係数について許容値を設定し、第三者的に各施設で日常的に行われている管理状況に関する妥当性の評価を実施しております。現状ではX線のみを対象とした調査のみを行っています。 許容値は、標準計測法12の各係数の不確かさが0.5%以下となるように設定しました。これにより、最終的に得られる標準条件での 水吸収 線量(Gy) の不確かさ (表1の許容値の内、太字で記載された係数の許容値の合成)は約1.2%となります。本WGで設定している許容値の信頼性について表1にまとめましたが、これは、本WGの設立施設である5施設のデータが、国内の全放射線治療施設のサンプルとして使用できるという前提を基にして決定しました。1SDは1標準偏差 であり、包含係数k=1を意味しますので、適切に管理されていても1SDの場合32%の確率で許容値外となる可能性があり、2SDでは4.5%、3SDでは0.3%の確率で許容値外となります 。日本国内のリニアック数が2015年時点で936台とういことですので[1]、許容値が3SDに相当する場合、適切に管理されていても、確率的に国内で3台は許容値外となることが想定され、2SDであれば42台が許容値外になる可能性があることを意味します。つまり、表1の許容値の信頼性が3SDを超える場合は、国内で不適合になるリニアック数は確率的にほぼゼロということになります。しがたって、サンプル施設のデータに基づいて決定された係数のうち、許容値を超える可能性のある係数としては、治療計画装置の絶対線量設定値(cGy/MU)と気圧が考えられます。

表1:許容値毎の信頼性。許容値が本WGの設立施設5施設の標準偏差の何倍になっているかを示す。
各係数の許容値は、各係数の不確かさが 0.5%となるように設定した。
評価の対象となっている係数 標準偏差等 許容値 許容値の信頼性(許容値/標準偏差)[もしくは想定される平均誤差]
治療計画装置の絶対線量設定値(cGy/MU) リニアック共通
各エネルギーの平均値の0.5%
各エネルギーの平均値±1% 2SD
kQ リニアック共通
各エネルギーの平均値の0.03%
各エネルギーの平均値±0.5% 17SD
kpol リニアック及びエネルギー共通
1±0.0006
1±0.005 8SD
kS リニアック及びエネルギー共通
各ビームの最大線量率を用いて4.6426×106×最大線量率(MU/min)+1を算出した結果8±0.0007
各ビームの最大線量率を用いて4.6426×106×最大線量率(MU/min)+1を算出した結果±0.005 7SD
kTP Temp 室温と水温の差が3℃の場合、室温に基づくkTPと水温に基づくkTPが1%異なる。 室温と水温との差2℃ 施設で使用している温度計に依存する。
Pressure
P0,Tは気象庁発表の数値、hは国土交通省HPと施設が提出したグランドレベルとリニアック室のアイソ センター間距離で算出。広島市の過去10年の平均風速は3.4m/s(気象庁調べ)を想定した場合、気圧傾度は0.11kPa/100km(広島市~福山市の距離)であるので、気圧が101.3kPa(1気圧で観測所から100km離れている場合、0.11%の誤差を生じる可能性がある。国土交通省の標高のオリジナルデータの精度(標準偏差)は、25cmであるが、気温20度の時、海抜10mで海面気圧との差は、0.12%。施設からのデータについても同様に25cmの誤差があると考えると、0.12%の誤差要因となる。気象台の気圧計の測定誤差は精度:±0.15hPa(500~1100hPa,-40~+60℃)であり、1気圧の場合0.015%である。温度は基準が300Kであるので、0.1℃の精度があれば、温度の誤差は0.033%であるので、上記全てを独立の誤差要因であるとみなせば誤差の合成は0.21%となる。
左式の計算結果
±0.5kPa以内
2.4SD。
(観測所から100km離れた地点で、広島市の平均風速と同じ場合、0.5/0.21=2.43と見積もられる。)
Ndw 校正証書を参照 数値の一致、校正日が測定日の1年以内
Coefficient variation of measurement 3回以上測定した変動係数 変動係数が±0.1%以内
(Measured - RTPS)/RTPS リニアック及びエネルギー共通
各係数の不確かさを0.5%とすると、実測値の不確かさの合成は1.2%
施設平均のSDは0.54%、
±2% 実測値の不確かさとの比較は1.7SD。5施設平均との比較は3.7SD

許容値を超えた施設に対しては、まず本WGから担当者へのヒアリングにより、測定方法等の確認を行わせていただき、再測定へのご対応をお願いしております。再測定でも問題解決が難しい場合はもちろん、日常の品質管理に関するお悩みなど、ご施設様の希望により、WGからメールや電話によるご相談、訪問測定等の対応も可能ですので、ぜひご活用ください。

参考文献:

  • 日本放射線腫瘍学会:2015年 全国放射線治療施設構造調査の解析結果 第1報、第2報