転移性脳腫瘍とは、中枢神経系以外に生じた腫瘍が脳に転移したものです。原発臓器(もともとの悪性腫瘍)はさまざまですが、肺がんが最も多く(全体の5割以上)、次に乳癌、直腸がんと続きます。
予後
転移性脳腫瘍は全身転移の一つであり、癌患者の10-40%に転移性脳腫瘍を伴っているとも言われます。
このような状態で予後因子として重要なのは
- 全身状態が良好
- 年齢が若い
- 原発巣が制御されている
- 脳以外に遠隔転移がない
という項目です。
治療目的
転移性脳腫瘍に対する治療目的は
- 脳転移そのもので命を落とさないようにすること
- 頭蓋内圧亢進症状や神経症状の改善によって患者様の生活の質(QOL)を維持すること
当センターでは、上記の目的を達成出来るように、転移性脳腫瘍を患う患者様に速やかに放射線治療が行えるように最善を尽くします。
当院で治療対象となる具体的な適応
転移性脳腫瘍のうち病巣の最大径が3cmまでで個数が1~4個の症例
個数にかかわらず放射線治療によって症状や予後の改善が期待できる転移性脳腫瘍(手術可能な症例を除く)
放射線治療の方法
定位放射線治療
治療装置や患者さんを固定する程度はmm単位で管理し、転移性脳腫瘍に対して多方向から放射線を集中させる定位照射(いわゆるピンポイント照射)です。(「高精度放射線治療とは」を参照してください)
当センターでは基本的に1日1回、計3日間(計3回)で治療が終わります。
全脳照射
転移性脳腫瘍の個数の多い場合は、全脳照射を施行します。
当センターでは基本的に1日1回、計2週間(計10回:土日省く)で治療が終わります。
なお、個々の患者様で状況が変化致しますので、具体的な適応や放射線治療の方法については担当主治医から詳しく説明をお聞きになってください。
転移性脳腫瘍の放射線治療の基本的な流れ
放射線治療の適応かどうかを判断し、治療の説明を行います。
治療のイメージがつくようにビデオを視聴していただきます。
放射線治療の流れや注意事項をパンフレットを使って説明します。
治療中に頭部が動かないよう固定具を作成します。
放射線の当て方をシミュレーションするために必要なCTを撮像します。
治療時刻は予約制です。
治療回数は、腫瘍の大きさにより3〜10回です。
毎回画像照合による位置合わせを行い、正確に照射を行います。治療時間はおよそ30分です。
治療終了後は紹介元医療機関と連携してフォローします。
放射線治療に伴う副作用
頭部の照射部位によって症状は様々ですが、頭痛・吐き気、しびれなどが生じた場合は主治医にご相談ください。
照射部位によって一時的に脱毛がみられます場合があります。シャンプーの際には、弱酸性のもので、優しくなでるように洗い、ひっかいたりこすったりしないようにしてください。また、帽子などを活用し、頭皮を保護してください。
治療の注意点
- 頭の固定具により、頭部前後に挟むように固定します。若干の圧迫感がありますが、これは精度の高い治療をするためにです。痛みや圧迫感が強い場合はお知らせください。
- 照射中は治療台が高くなります。 昇降時には転倒・転落にご注意ください。
- 照射中はできるかぎり動かず、同じ姿勢を保ってください。
- 照射中はスタッフは治療室から出ております。室内にはカメラを設置しておりますので、途中でご気分が悪くなられた時には、手を振るなどしてお知らせください。
- 治療初日に副作用予防の内服が開始されます。
- 治療中は食事・運動などの日常生活上での制限はありません。
- 激しい運動は避けて下さい。毎日治療に通えるように体調を整えてください。