SDGsから見たHIPRACの取り組み
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本各地でも積極的に取り組まれている様子はよく報道されています。
我々HIPRACは、市内4つの医療機関(広島大学病院、広島市立広島市民病院、広島赤十字・原爆病院、県立広島病院)と連携した広島県立の医療機関として2015年10月に開院致しました。「放射線治療を より高度に より優しく」をモットーとして、開院後よりたくさんの患者さんに放射線治療をさせていただいております。もっとよりよく皆様に我々が行っている“診療・教育・人材育成・社会貢献活動”を理解していただくために、SDGsの視点から見たHIPRACの取り組みをご紹介したいと思います。
我々は“診療”“教育・人材育成”“社会貢献”を中心に活動をしています
診療
放射線治療を必要とする患者さんのために、適切な放射線治療を提供します
目標1【貧困】
あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
目標3【保健】
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
広島県内のがん治療の水準向上の一環として、HIPRACは設立され運営しています。我々HIPRACは、放射線治療を必要とするがん患者さんに広く門戸を開いています。HIPRACの場所は広島駅北口から徒歩5分、また駐車場(当センター受診者は無料)も完備しており、患者さんにはアクセスしやすい好立地な通院治療型の医療機関です。県内4つの医療機関(広島大学病院、広島市立広島市民病院、広島赤十字・原爆病院、県立広島病院)と連携しており、それぞれの病院からも当センターを利用していただけます。また、セカンドオピニオン外来もHIPRACにて開設していますので、放射線治療の適応かどうか聞きたいときにも利用できます。一人でも多くの放射線治療を必要とする患者さんに対して、HIPRACでは積極的に放射線治療を提供したいと考えています。
高精度な放射線治療を正確に提供し、負担の少ない放射線治療を目指します
目標3【保健】
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標9【インフラ、産業化、イノベーション】
強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
がん治療は日々発展しており、より良い治療効果が得られる治療法の模索が続いています。我々HIPRACは、高精度な放射線治療を正確に実施するための技術や機器、人材(放射線治療専門医・医学物理士・放射線治療技師・看護師)が十分揃っており、適切な放射線治療を安全に施行しています。また、治療効果が高く、かつ体に優しい放射線治療を追求するために、高精度な放射線治療法の開発や画像データ解析など新しい取り組みも続けています。
我々は放射線治療の質を高め、多くの患者さんの負担を軽減し、放射線治療後のQOL向上に貢献致します。
HIPRAC職員としての誇りを持ち、患者さんの心に寄り添う接遇を行います
目標3【保健】
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標8【経済成長と雇用】
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
放射線治療を必要とする患者さんは、がんと闘う孤独な戦士です。我々HIPRACは、放射線治療中から放射線治療後も患者さんの応援団に徹し、放射線治療に関わる不安や苦痛を出来るだけ取り除く努力を続けます。当センターに受診していただいた患者さんには出来るだけ丁寧な説明を行えるように診察および看護には十分な時間を取っています。また、放射線治療を終了した際に、希望者には“天使の鐘”を鳴らして、これまでの努力を称えて今後の活力にするセレモニーを行います。
教育・人材育成
放射線治療に対する理解を深めるために、県内の医師および県民の皆様に放射線治療を丁寧に説明します
目標4【教育】
すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
目標3【保健】
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
放射線治療は、手術と抗がん剤を含む薬物療法と並ぶ、がん治療における重要な治療法ですが、放射線治療に携わる医師が多くないため、治療効果や副作用が分かりにくい場面があります。放射線治療科以外の外科や内科の先生方にも放射線治療の適応や効果などの理解を深めていただくために、疾患別の検討会議やオープンカンファレンスを外科や内科医師とともに定期的に行っています。また、広島県内の市郡地区医師会の学術講演会において要請があれば積極的にHIPRAC医師が講師として参加し、県内の医師の皆様に放射線治療に関する理解が深まるように努力しています。さらに、県民公開セミナーを定期的に開催し、様々な種類のがんに対する放射線治療の適応や治療成績など、分かりやすく県民の皆様にお伝えしています。
高精度化した放射線治療を安全に施行するために、放射線治療に係る技術の均てん化と水準向上に努めます
目標9【インフラ、産業化、イノベーション】
強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
目標4【教育】
すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
近年のコンピュータ技術の発展とともに、放射線治療は従来と比較して飛躍的に高精度化しています。一方で、高精度化した放射線治療の“質の維持”は、正確な放射線治療を行う上で極めて重要です。我々HIPRACは、放射線治療の“質の維持”に関して積極的に活動をしています。具体的には、がん診療連携拠点病院の指定要件の一つである放射線治療装置等の出力線量測定や精度管理などの品質保証に関する技術的支援(第三者評価)をHIPRACが率先して行い、県内および県外の放射線治療技術の均てん化と水準向上に努めています
放射線治療・がん治療に関する教育推進のために、学生・若者への教育活動を行っています
目標4【教育】
すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
目標8【経済成長と雇用】
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
今後の医療・介護を支えることになる学生・若者に対して、放射線治療の理解とがん治療への興味を促すことは、将来のがん医療の水準向上には極めて重要なことだと考えています。我々HIPRACでは、様々な学生や初期研修医に対して院内見学や臨床修練の受け入れを行っています。また、夏には高校生を対象として最新の放射線治療技術を実感できる医療体験セミナーを開催しています。
社会貢献
常に研究マインドを持ち、HIPRACから国内外へ学術的な発信をしています
目標4【教育】
すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
目標17【実施手段】
持続可能な開発のために実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
日々の高精度放射線治療業務の中で、常に問題意識を持つことが出来れば、持続的に発展出来ます。我々HIPRACでは、他大学との研究交流会や学会発表、論文投稿を積極的に行い、最新の研究内容を議論することで、新たな問題意識を持つことを重要視しています。放射線治療業務における課題解決は、安全意識や業務効率の向上につながり、さらには患者さんへの安心安全な医療提供につながります。
まだ放射線治療のインフラが整っていない海外施設へ質の高い放射線治療技術を提供します
目標4【教育】
すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
目標10【不平等】
国内及び各国家間の不平等を是正する
目標17【実施手段】
持続可能な開発のために実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
欧米諸国では放射線治療の技術革新および発展がみられるものの、いまだ近代的な放射線治療施設が整っていない国も多いのが現状です。我々HIPRACは広島大学と共同して、特にモンゴルの放射線治療施設の発展のために技術提供を行っています。今後はモンゴルからの研修生受け入れも予定されています。東アジア全体の放射線治療の水準向上を目指して、海外施設との国際連携を深めていきます。